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Side-S:17章 Furlough 5


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 結局、瞬だけでなく星矢と、なんと一輝までもが同席しての朝食となった。
 もっとも本当に近くに同席しているというだけで、一輝はどことなく嫌そうに無視を決め込んでいる。そんな兄の態度に瞬は気を揉んでいるようだったが、 にとって別にそれは苦ではない。それどころか誰に対しても――特に相手が女と見ると――そのような態度を取る一輝には既視感を覚えておかしくすらある。 の体術の師でもある某上司と、まさかこんなにも似たリアクションを取る人間が他にもいるとは思いもしなかった。
 だから食事をほとんど終えた頃、ぼそりと話しかけられたときには驚いた。
「今朝もカノンは一緒じゃないのか」
 そういえば、昨日この屋敷で最初に一輝に会ったときにも同じような質問をされた。なぜ彼はやたらとカノンの動向を気にしているのだろう?
「ええ。今朝は私一人で起きてきたのですが。……カノンになにか御用でも?」
 尋ねてみたのだが、一輝はただ軽く肩をすくめただけだった。
「いや……」
 どうにも歯切れが悪い。やはりなにかあるのだろうかと更に質そうとする寸前だった。一輝はまるで独り言のような調子の、返答ととれなくもない言葉を返してきた。
「あの男がお前をずっと放っておくとは思えなかったのだがな……俺の読み違いか……」
「?」
 まるで意味がわからない。首を傾げた の代わりに、瞬が聞き返してくれた。
「つまり、カノンが さんを一人にしておいてるのがおかしいってこと?」
「…………」
 無言が一輝の返答だったらしい。瞬は今度は に尋ねてきた。
「カノンは怪我してる さんを護衛してるだけなんでしょう?」
「ええ、まあ……」
  は言葉を濁す。正直なところ、女神がどうして未だに の側にカノンを置いたままにしているのか、 もカノン本人も知らないのだ。この屋敷に を招いたのだって、別にカノンと一緒でなくても良かったはずだ。
 つい曖昧な答えになってしまったが、瞬は特に頓着しなかった。
「だったら屋敷の中だし、別に目を離してるとは言えないんじゃない? それとも兄さんが言っているのは、そういう意味ではないってこと? 読み違いってなに?」
「…………」
 今度の無言は、どうやら返答の意思がないということのようだ。質問を重ねる瞬に、一輝は再び肩をすくめる。次いで、 達の背後に向かって顎をしゃくってみせた。
「なに?」
「なんだ?」
「?」
 瞬も星矢も も、尊大な態度に誰ひとりとして特に気を悪くすることもなく素直に振り返る。
「あら……カノン」
 おはようございますと声をかけた にとりあえず挨拶は返したものの、4人の視線の先に現れたカノンはひどく不機嫌そうだった。一斉に見つめられてさすがに少々驚いたようだが、それでも臆せず近づいて来る。
 真っ直ぐにやってきて、当然のように にだけ声をかけた。――蛇足ではあるが、カノンは日本語を解さない。当然のようにいつもの英語である。
『一人でこっそり抜けだしていくことはないだろう、
 表情そのままの恨み言じみた物言い。後ろから の両肩に手を載せて、まるで捕まえてでもいるかのような格好だ。いい年をした大人が少年達の前での朝一の言動がこれとは。 はなんだかいたたまれなくなってしまった。お陰で素っ気ない言葉しか出てこない。
『別にこっそりなんてしていないわ。普通にしていました。カノンが起きなかっただけでしょう』
『お前の普通というのは静かなんだ。起こしてくれればよかったのに』
『だって今日はカノン、特に予定があるわけでもないでしょう』
だってないだろう?』
『グリニッジ標準時の午後10時20分、つまりここの時刻で午前7時20分に定時報告を送らなければならないの。それまでに支度を整えておこうと思って。私が起きてもカノンたら、全然目を覚まさないんだもの』
『夕べは遅かったんだから当たり前だ。なんでお前はそんなに早起きなんだ?』
『お風呂もいただいておきたかったの。共同のお風呂の方よ。今朝の6時から使えるとのことだったから』
『わざわざそんな所まで行かなくたって、部屋のシャワーを使えばいいだろうに』
『広くて気持ちが良いから試してみるといいってサガから聞いていたから楽しみにしていたのよ。女神様からも屋敷のちょっとした自慢どころの一つだから是非にって勧められていたし』
 横で見守る青銅聖闘士達が口を挟む隙を見いだせなかったカノンと の言い合いに、絶妙のタイミングで唐突に横槍が入れられた。
『寝ているやつを起こしたくないから部屋のじゃない風呂に行ったってさっき聞いたような気がしたんだけどな』
 わざわざ英語で発言している辺り、 へのあてつけに違いない。なにしろこの場でギリシャ語を使えないのは だけなのだ。
 その声の主は既に食事を終えたのか、出口に向かって歩いている。いかにもわざとらしい笑顔を張り付かせ、ニヤついた視線を投げかけてきた。扉に手をかけ、一言追加する。
『ま、ガキどもや寂しいヤモメに悪影響を与えかねない言動はできるだけ慎むように頼むわ』
 言い捨ててそのまま出て行こうとするデスマスクを、カノンはだたでは逃さなかった。即座にギリシャ語に切り替えて言い返す。
《僻みか、デスマスク》
 デスマスクとは対照的な、まるで聖人然とした爽やかな笑顔は勿論計算してのことだろう。扉を開けた姿勢のまま一瞬固まったデスマスクの額には青筋がはっきりと見て取れた。
《うるせー死ねこのクソ愚弟》
 先程の作り笑いをあっさりとかなぐり捨てたデスマスクを軽蔑も顕わな目で見返し、カノンはふんと鼻を鳴らす。
《寂しいヤモメな貴様に愚弟呼ばわりされる筋合いなどないわ》
《マジで死ねよ》
《好きなだけ吠えてろこの負け犬め》
《てめぇ絶対にいっぺん殺す》
《返り討ちになる覚悟があるならやってみろ》
《一撃であの世に送り返してやるから楽しみに待ってろ》
《ああ楽しみに待っているぞ。ハーデスのもとで地団駄を踏んでいる貴様を思うと今から胸が熱くなるな》
 いい大人同士の非常識なほど低レベルな口論に、思わず聞き耳を立てていた少年たち――正当な聖闘士である彼等にとってギリシャ語は必須言語である――は、一斉に溜息を漏らす。揃って肩を落とした。
「こういう大人にだけはなりたくないよな」
「反面教師がいるっているのはある意味、いいことなんじゃないのかな」
「悪影響のほうが大きすぎるのではないか?」
 苦言は情けない大人たちがわからない日本語で呈されていたが、得てしてそういう言葉だけはなぜか言語の壁を越えるものである。きまずそうに大っぴらに舌打ちをしたデスマスクは、結局カノンとの決着をつけないままその場を後にした。
 一方でカノンはそんな周囲の温度には目もくれない。一人、言い争いの内容が理解できずにどことなく困り顔をしていた の腕を引いた。立たせるやいなや引っ立てるように歩き出す。
『行くぞ、
『え……あの、まだ片付けが……それにカノンは?』
 歩みを暫時休止して、カノンは大仰な仕草で壁の時計を示してみせる。
『親切で教えてやる。定時報告の時間まで後10分を切ったぞ』
 文字通り、 は少しではあるが飛び上がった。カノンの腕を振りほどいた。
『大変! 急がないと。まだ通信の設定を済ませていないの』
 言いながら食器が乗ったトレイを慌てて持ち上げた途端、水の入ったままだったグラスが大きく傾く。「あっ」と が声を上げるのと同時に、寸でのところで瞬がグラスを受け止めていた。そのまま文字通り目にも留まらぬ早さで の手からトレイまで取り上げる。
「僕のと一緒に片付けておきますよ。 さん、急がなきゃいけないんでしょう?」
「でも……」
 さすがにそれは悪いだろう。躊躇う に、瞬はにっこり笑って付け加えた。
「じゃあ、報酬は夕飯のデザートということで、いかがです?」
 笑顔が優しいだけではなく、きっと彼は心の底から優しいのに違いない。 は思わず微笑む。心遣いをありがたく受け取ることにした。
「ありがとうございます。よろしくお願いします。では夜に、またご一緒させていただきますね。報酬はその時に」
「お待ちしてます」
 二心のなさそうな笑みに、 もまた笑って応える。そこへもう一つ、ついなごんでしまう声が加わった。
「えー! それなら俺がやる! 俺が片付けるから、デザートは俺にくれよ さん!」
「ダメだよ星矢。僕が先なんだからね」
 もしも弟という存在がいたらこんな感じなのだろうか。思わず口元がほころんだ。しかしどこぞの『弟』はこんな雰囲気にはどうやってもならなさそうではある。ちらりと横に立つカノンを見上げれば、今度は苦笑が漏れた。
「ええと……そこは二人で協議してくださいね」
 ではすみませんがお願いしますと頭を下げて、 はカノンに腕を引かれて退室したのだった。


 ***


 イレギュラーな食客が消え、食堂にはいつも通りのメンバーだけが残される。
 ここでようやく、いつもとは少なからず違っていた妙なテンションが幾分か抑えられた。第三者がいれば、多少静かになったと感じたことだろう。つまりデスマスクが辟易し、 が驚いていたあの雰囲気は、彼等がいたからこそ醸成されたものだったというわけだ。
 沙織以外の女性がこの場に来たのは、実は今回が初めてだ。沙織の護衛としてここに派遣されてくる聖闘士は、聖域のいささか時代錯誤的な規則――女聖闘士の仮面着用の決まりのことである――のせいもあって、例外なく男性だけになる。
 
 余談ではあるが、仮面規則さえなければ、聖域に引き篭っているわけにもいかない当代の女神にとっては相当のメリットがあるとして、その廃止が図られている最中ではある。
 例えば通常の護衛が同行できないような場でも、女聖闘士をあらかじめ女性秘書として配置しておけば女神の側から聖闘士を離さずに済む。しかしそのような任務に当たるに相応しい年齢の女聖闘士の不在と、当の女聖闘士達からの反発が少なからずあるということもあって、現時点では未だ実現のめどは立っていないというのが実情である。

「……なんていうかさ、なんか引っかかんねぇ? むかつくって言うか」
 ふと星矢がボソリとつぶやいた。食器を片付けていた瞬は耳を止める。
「なにがだい、星矢?」
「カノンだよ。あの態度!」
  の分の食器まで瞬が手早く持って行ってしまっていることに頓着する様子もなく、星矢は一人で憤っている。デザートへの執着は意外と薄かったのか、はたまた忘れているだけか。恐らく後者だろうと決めつけ、瞬は素知らぬ顔で相槌を打った。
「ああ、さっきの……」
 思い出して顔をしかめる。確かに気になった。
「僕らには目もくれなかったね。一応、挨拶はしたんだけどな」
「やつに礼儀を求めるのがそもそも間違っているんだろう」
 一輝が口をはさむ。だが彼に至っては誰に対してもろくに挨拶などしていない。人のことを言えた義理かと正直瞬は思ったが、今更言っても仕方がないことだ。溜息をつくに留めた瞬の代わりに、星矢が応えた。
「そういうんじゃなくてさ。 さんに対するあの態度のことだよ。すげえむかつくよな」
「……ああ、なんかわかる気がするよ。ベタベタしすぎだよね」
「あれはもうベタベタってレベルじゃねえよ。カノンのやつ、あからさまに俺達から さんを遠ざけようとしてたじゃねーか」
「そうかな。でもカノンは外人だし、ああいうものじゃないの?」
「なんだよ瞬、わかってて さんに夕飯の話持ちかけたんじゃねーの? だから俺も乗ってやったのに」
「え? なんのこと?」
 鈍感なようでいて、意外と星矢は鼻が利く。そんな評価を瞬は下していた。ただ問題なのは、その鼻が自分のことに関してはまるで機能しない点だと常々思っている。――もっとも、それが自己保身の本能から来るものではないかと勘ぐっているというのは秘密だ。
 なんだよ瞬、と星矢はもう一度繰り返してため息をついた。
「外人は外人でもさ、カノンはギリシャ人なんだぜ。それであの態度だぜ? 引っかかんないのか?」
 なにやら力説しているが、生憎瞬には意味がよくわからなかった。
「ギリシャ人だからなんだっていうの?」
「良く言えば情熱的。悪く言えば嫉妬深いということだろう。ギリシャでは人間どころか神々たちですら、神話の時代からそんな話ばかりだ」
 少々遠回しながらも疑問に答えたくれたのは一輝だった。腑には落ちたが、逆に疑問も湧いてきた。つまり一輝もそういうふうにカノンを見ていたということか。
「そういえばさっき兄さんが気にしてた、カノンが さんと一緒じゃないのがおかしいって、要するにそういうことだったの? ていうことはカノンと さんて……もしかして付き合ってるとか、そういうこと?」
 首を傾げた瞬に、星矢はいよいよ呆れきった目を向けた。
「今頃なに言ってんだよ瞬。 さんが自爆しちまったときにカノンがどうしたか、覚えてるだろ? あんな奴があそこまでしたってことは、つまりそういうことだろ。まあそれだけじゃあの二人が付き合ってるかどうかまではわかんねーけど、少なくともカノンの奴は さんのことが好きなんじゃねーの? だからあいつは、俺達が さんと仲良くしてるのが気に入らなかったのさ。――だろ、一輝?」
「ああ。それは間違いないだろうな」
 少々馬鹿にしたような星矢の口調に瞬は落ち込む。はっきり言ってそういう方面には疎い。自覚だってある。
 ――だがまさか、常日頃から他人のことなどこれっぽっちも気にもかけていないかのようなそぶりの一輝よりも疎いとは、今の今まで思っていなかった。
「でも朝御飯を一緒にしてただけだよ。別に僕達に対して嫉妬とかするような状況じゃなかったと思うんだけど。いくらなんでもカノンだっていい大人なんだし、そのくらいのことで目くじらたてたりしないでしょ」
「甘いな、瞬よ。あいつはかつて、真顔で世界征服を叫んでいたような男だぞ。確かに発端の時はそういう言動をしがちな年頃だったかもしれん。だが『いい大人』になってもその困った症状が治らなかったということはつまり、相当強い征服欲というか独占欲のようなものを持っているということか、あるいは精神年齢が低いかのどちらかだ」
 一輝によるまさかの他人に関する持論展開に瞬は驚きを隠せない。しかも驚きはその内容に対しても向けられた。
 過去のカノンを一輝がここまで断ずることができているのは恐らく――本人に自覚はないだろうが――同類だからだ。幸いなことに、一輝はその『困った症状』をこじらせることなくなんとか克服しているようだが、それでも完治はしていないだろうことは普段の言動を見ていれば一目瞭然だ。
 目くそ鼻くそ的な状況をまざまざと見つけられて、瞬の気分はこれ以上ないほどに複雑だ。それでもそんな心中をさすがに口に出すことはできなかった。
「そ……そうなんだ……」
 ひきつる瞬をよそに、星矢は唸りつつ腕を組む。
「たださ、わからないのは さんなんだよな。 さんて、あんまり感情を表に出さない人みたいだし、なに考えてるのかよくわからないんだよな。カノンにああいう態度取られて、どう思ってるんだか」
「ああ。あの女はわからんな。もしかしたらなにも考えていないのではないかと思わんでもない。ただ――」
「ただ? なんだよ一輝」
「あの会話から察するに、今朝はカノンの束縛から逃れてきたということなのではないか?」
「ああ、そうかも。てことは、実はカノンがしつこくて迷惑してるとか?」
「あり得るな」
 そこで二人は揃って言葉を途切らせた。視線を交わし合う。不穏な空気を感じ取り、瞬は思わず眉をひそめた。
「星矢? 兄さん? なにを考えてるの?」
 尋ねれば、二人同時に瞬に目を向ける。普段は殆どそりの合わない二人が見せたそのシンクロ率の高さは異様でしかない。
「瞬、俺さ、いいこと考えたんだけど」
 口火を切ったのは星矢だった。一輝は黙って聞く態勢に入っている。口元がおかしそうに歪んでいるのは、瞬の気のせいではないはずだ。
「……なに?」
 仕方ない。瞬は聞く覚悟を決める。どうせロクでもない内容だろうが、すこしばかり興味をそそられているのは事実だった――まったく、仕方がない。


Side-S:17章 Furlough 5/ To Be Continued




2014/05/20


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