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Side-S:11章 Party Night 07


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Party Night 07


 宴に戻った後、なし崩し的にポセイドンとアテナは連れ立っていた。
 本人達にその気がなくとも、一応男女である。組んでいれば互いに声を掛けられにくい。
 結果として海闘士と聖闘士のそれぞれ最高位を拝領する者が共に同じ任務に当たるという前代未聞の事態になっているのだが、当然普通の人間にそんなことがわかるわけもない。ただ、若い割には妙な威圧感を振り撒いている護衛の集団ができあがっているように見えるだけである。
 ゲストの組み合わせと護衛陣のただならぬ迫力というダブル効果で、奇しくも彼等はそれなりに快適にパーティを楽しむことができていた。
 しかしそれでも、そんなプレッシャーを意に介さない人物というのは存在するものである。
「ジュリアン!」
 親しげに声を掛けたのは、薄い金色の髪の青年だった。
 比較的線の細い優しげな風貌で、一見気弱そうにすら見える。しかし他のゲストや護衛をもなんとなく遠ざけてしまっているほどの重圧をものともしていないあたり、見た目を裏切って相当豪胆な性質なのだろう。そうでなければただの馬鹿だが、ジュリアンが笑顔で応えたところを見ればそれなりの人物であることがうかがい知れる。
「やぁ。これは久しぶりだね。今日はまだ姿を見かけていなかったから、どうしたんだろうと思っていたところだよ」
 笑顔のみならず、ここまで屈託なくジュリアンが応じる相手など、多分そうはいないはずだ。さすがに興味を引かれて、沙織は隣のジュリアンを見上げた。
 いかにもこういった場に在る人間に相応しい悠然とした足取りで二人の元にやってきた彼は、ジュリアンが沙織の視線に気づくよりも早く、彼女に向かって優雅に一礼して見せた。
「ご歓談中のところ、お邪魔して申し訳ありません、レディ」
「いいえ。とんでもありませんわ。彼を探していらっしゃったのでしたら、私の方こそ申し訳ありません。今まで彼を引き止めていたのは、私なのですから」
 珍しく饒舌な沙織に、ジュリアンはやれやれと肩をすくめる。かつて自分が――ポセイドンとして覚醒する直前の自分が――彼女に声を掛けたときとは、随分と対応が違うではないか。勿論、あの時のジュリアンのように不躾な言葉を掛けているからではないことはわかっているが。
 沙織の言葉に、おや、と彼は眉を上げた。からかうような笑みをジュリアンに向ける。
「姿が見えないなと思っていたのは、僕も同じさ。あなたが来ているのは知っていたけど、こんなに美しい方と一緒だったとは知らなかったよ……紹介してはくれないのかい?」
 もう一度肩をすくめて、ジュリアンは見上げる沙織に彼を少々ぞんざいな手つきで指し示した。
「沙織嬢、紹介するよ。彼はアルバー・カタロニア。このパーティの主催者、ニコラウス・バルツァー氏の片腕と言われている男だ。……優しげに見えて、なかなかやり手だ。話をするなら、気をつけたほうが良い」
 まぁ君なら大丈夫だろうけどね、と締めくくったジュリアンを、彼――アルバーは軽く睨みつけるようにした。とはいえ、口許は笑ったままだ。別に気を悪くしたわけではないようだった。
「ひどいなぁ、ジュリアン。それとも、それは僕を評価してくれてるってことなのかな?」
「好きなように解釈してくれたまえ」
 しれっと流してから、ジュリアンは先程とは打って変わった丁寧な仕草で沙織をアルバーに紹介する。
「こちらはサオリ・キド嬢。この若さで、あのグラード財団のトップを務めていらっしゃる方だ……知っているだろうけどね」
「勿論、存じ上げているとも。――お会いするのは初めてですね。お目にかかれて光栄です、ミス・キド」
 胸に手を当て、アルバーは恭しく一礼する。上流階級の出身なのだとうかがわせる、洗練された物腰だった。沙織もスカートを軽くつまんで、頭を下げた。
「はじめまして。ミスター・カタロニア。バルツァー氏に有能なビジネスパートナーがいらっしゃるとお聞きしたことはありましたが、こんなにお若い方だとは存じませんでした。お会いできて嬉しいですわ」
 両者ともに互いに柔らかい口調でかわされるやりとりは、果たして社交辞令なのか本心からの言葉なのか。
 身を置く世界のあまりといえばあまりの違いを見せ付けられた護衛の聖闘士たちが、さすが我等が女神だと感心したのか、ついていけんと思ったのか。果たしてどちらなのかは定かではない。

 ***

 いつも一緒の彼は、今日はいないのかい?
 そんなアルバーの問いは、黙ったまま主の背後に控えていたカーサを少なからず驚かせた。
 今日、この場で突如として現れた『ジュリアン』の知り合い――それも相当親しいようだ――にも驚いたが、その彼がカーサの同僚ソレントとまで顔見知りらしい事実は、カーサを愕然とさせるのに十分だった。
 唖然としたままのカーサの様子にまで気づくわけもなく、ジュリアンや沙織と少し話をしただけでアルバーは慌しく去っていった。さすがに主催者側の人間である。色々と忙しいようではあるが、また後でと言い残して立ち去った。
 その後姿を見送りながら、カーサは主におずおずと声を掛ける。
「ポセイドン様――」
 我ながら硬い声だと思った。呼びかけたはいいが、続く言葉を見つけられずにしばし口籠る。
 振り返ったポセイドンは、そんなカーサに頷いて見せた。――何もかも諒解している。
 それがわかってやっと、カーサは口を開くことができるようになった。神たる己の主の、その慧眼なことに改めて畏怖を感じながらも。
「今の方について、ソレントからは何も聞いていないのですが……それはそのようにお命じになったからなのでしょうか?」
 いいや、とポセイドンは軽く首を振ってみせる。少々シニカルな笑みを浮かべた。
「ソレントは何も気づいていないよ。……お前を連れてきて、どうやら正解だったようだ。これで確証が得られた」
「……私を、試されたのですか?」
 恐る恐る聞いたカーサに、ポセイドンは苦笑する。
「いや。言ったろう? 確証が得られた、と」
 つまりは、神であるポセイドンでも事のすべてを把握できるというものではないということか。それでも見抜きはするのだから、さすがである。
「「ポセイ……」」
 黙って頭を下げ、それ切り再び口を噤んでしまったカーサを怪訝そうに眺めたバイアンが口を開くのと同時に横合いから女の声がして、結局両者とも黙ってしまった。
 勿論、バイアンと同時に発言しかけたのはアテナである。あら、と可愛らしく口許を押さえてバイアンを仰ぎ見ていた。
 普段ならば相手が黙ったのをいいことに先に喋らせてもらうところだが、相手が相手である。己の主でないとはいえ、奉じる神と同等の存在なのだということを忘れるわけもない。バイアンもまたはっと口を押さえて、自分を見上げている、かつて敵対した女神を不遜にもまじまじと見つめてしまうこととなった。
 よくよく見たのは、実は初めてだったかもしれない。まだ子供だ。顔立ちにあどけなさが残る。しかしやはり、思わざるをえない。
 違う、と。
 顔つきも。まなざしも。肉体の年齢にあまりにもそぐわなかった。老獪ささえ漂っている。自らも神に仕えているからこそわかる、本物の威圧。威厳――神気とでも表現するべきものを、彼女は確かに備えていた。
 いくらシードラゴン――カノンの口車に乗せられていたとはいえ、よくもこんな存在を相手に戦いなど仕掛けたものだ。今更ながらぞっとした。
 それなのに、彼女はまるで年相応の少女でしかないかのようににっこりとバイアンに笑いかける。
「ごめんなさいね。お先にどうぞ?」
 発言権を譲られてもちっとも嬉しくない。むしろ恐縮するだけだ。バイアンは慌てて両手と顔を振る。
「い……いえ! 私はポセ……ジュリアン様とはいつでも……というわけでもありませんが……って、そうではなく! ただの護衛である私が、めが……じゃなかった、ミス・キドを差し置くわけには参りませんっ! 大変失礼致しました!!」
「…………少し落ち着け、バイアン。それではかえって失礼だろう」
 さすがにしどろもどろのバイアンを見かねて、クリシュナが後ろからぼそりと注意を入れる。
 だがしかし、となおも慌てるバイアンに、カーサのみならずポセイドンまでが苦笑を隠せなかった。
「ポ……ジュリアン様っ!」
 抗議の言葉をなんとか正しく言い切った部下をポセイドンは軽く手を上げて制した。
「恐らく言いたいことは、沙織嬢もお前も同じだと思う。沙織嬢もいいとおっしゃってくださっていることだし、聞きたいことがあったらお前が言うといい」
 今度は主命である。仕方がない。バイアンは直立不動の姿勢で主に問いかけるしかなかった。
「先程の御仁はどういった方なのでありますか? なにかカーサにしかわからないような問題でもあるのでしょうか!」
 威勢は良いが、場所が場所だ。回りを気にして、実際はかなりの小声である。
 そしてその気遣いは無駄になることはなかった。


「ああ、まだこちらにいらっしゃいましたか」
 落ち着いた声に、全員が振り向いた。地上と海界の神も、それぞれの最高位の戦士達も。
 当然あからさまではない。失礼にならない程度の注目に見せることくらいは聖闘士にも海闘士にもできる。
 しかしそれはあくまでもフリである。どんなときにも、彼等は周囲に細心の注意を払っている。
 だから、誰もが気づいた。
「たった今、アルバーからお二方がこちらにお揃いだと聞きましてね」
 いかにも人当たりよく話す壮年の男に、ジュリアンが丁寧な仕草で礼をする。
「お久しぶりです、ニコラウス。本日はお招きいただきまして、ありがとうございます。ご挨拶が遅れまして申し訳ありません」
 ニコラウス・バルツァー。事業で得た莫大な富を、慈善事業に注いでいる名士である。
 これまで『ジュリアン・ソロ』はあの『大洪水』の後、私財を投げ打って洪水の被害者の救済に当たっていた。その折、志の近いバルツァーとは度々会い、特に援助を必要としている地域などの情報を共有させてもらっていた。そういう意味ではかなり親しく付き合っていると言っていい。
 会場入りしてからジュリアンはまだ主催者である彼に出会えておらず、挨拶もまだだった。だから今日、同行していた海闘士達も、バルツァーに会うのは初めてである。海闘士の中で彼に会ったことがあるのは、慈善事業に常に同行しているソレントだけなのだ。

 そのまま沙織も交えて歓談を始めたバルツァーとジュリアンからわずかに距離を取って控えた戦士達は、守るべきそれぞれの主よりも、明らかに様子のおかしいカーサに注意を向けていた。
 しかし同じ海闘士であるクリシュナは、敢えてなのかどうなのか黙して何も問おうとしない。もう一人のバイアンもまた、どう切り出していいものか迷っているのか押し黙ったままだ。
 やがて聖闘士の側から、静かに問いかけがなされた。
「――”読めない”うちの一人ですか、あの方は?」

Party Night 07 END



  補足です。今回、またまた登場させてしまったオリキャラについて。
外見と名前で、どういう人物なのかはGWをご存じの方には大体お察しいただけるかと。
ちなみに『アルバー』という名について。
この表記では北欧系の名前のようなのですが、本当は『アルバァ』とか『アルバア』と表記した方が意図したものに近いのです。
でもなんだかそう書くと(´・ω・`)?な感じの、何とも言えない違和感があったので現行名に落ち着きました。
で、そうまでしてこだわった『アルバァ』とは、アラビア語で4のことです。
……というわけで、4の彼のオマージュキャラです。
ネーミングセンスのなさに絶望した人、挙手願います(笑)

以上、当面のGW臭担当係の顔見せ話でした。

2010/02/04


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