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Side-S:中編04 Northern Cross 04


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 なぜか今日の仕事も猫探しだった。
 炎天下の住宅街。無駄に小宇宙を高めながら氷河は屋根の上にいる標的へと指先を向ける。
「カリツォー」
 一瞬の隙を逃さず、意外と素早いそいつに技を仕掛けた。随分と手慣れてきたとはいえ、所詮相手は獣。予想外の動きをするから侮れない。それなのに傷つけるわけにもいかないのだ。
 果たして獲物はさっと屋根の上から姿を消した。だがし損じてはいないはず。氷河は建物の後ろへ回り込むべく走り出す。個人の敷地どころが家までもがほとんど隙間なく並んでいるありふれた日本の住宅街。ただでさえ通行人から不審な目を向けられているというのにまさか屋根の上に飛び乗っていくわけにも行かず、後ろに行くには大きく道路を迂回しなければならない。
「目標、確保です!」
 曲がり角を曲がったところで弾んだ女の声がした。片足に冷たい衝撃を与えられて上手く動けなくなった猫は半ば落ちるようなかたちで逃げたらしい。そこを先回りしていたキコが上手くキャッチしていた。暴れる猫に引っかかれないよううまく持ち上げながら、現れた氷河に向けてにこりと笑う。
「これで今のところ抱えている案件はほぼ完了です。あとはこの子を依頼主さんに届ければおっけーですよ。というわけで」
 爪の伸びきった猫を氷河に押し付け、キコはすちゃっと額に手をかざす。
「後はお願いします! 今日の所は私はこれで! 明日の用意しなきゃですので直帰します!」
「え!? ってキコさん! こんな猛獣を俺に押し付けてそんな」
 暑さと見知らぬ人間に興奮しきった猫を持て余し、氷河はさっさと逃げに入ったキコを追いかけた。
「大体、キコさんの休みは明日からでしょう? それにまだ昼じゃないですか!」
「少年……」
 逃げ切れないと悟ったのかキコはすっと立ち止まり、妙に諦観したかのような静かな微笑を浮かべる。
「人にはそれぞれ、立ち向かわなければならない戦いがあるのです。今日、ここから先は、君は一人です。私は、私の戦場に向かいます……では!」
 一言一言、噛んで含めるように氷河を諭し終わると再度敬礼をして、キコは今度こそ走り去る。氷河はただ呆然とその背を見送るしかなかった。
「……ワケのわからない本を売ったり買ったりするだけだって聞いてたのに、戦いって……どういうことなんだ?」
 独白の答えを求めるように手にしたままの猫へと目を遣れば、氷河の凍気ですっかり活動意欲を削がれてがたがたと震えている。
「適度に大人しくなって好都合だが、依頼主に届ける前に死なせるわけにはいかんな。仕方ない、急ぐか……」


 氷河の依頼を事務手数料実費+氷河の無償労働で引き受けてくれることとなった『久良沢探偵事務所』には、なぜか妙な依頼が多かった。
 その最たるものが『ペット捜索』である。別に看板にペット探しますと掲げているわけではないにもかかわらず、犬や猫から爬虫類まで夏という季節柄のせいもあってか意外と依頼が多い。さすがに鳥を探してくれとの依頼は断っていたが、氷河が来る以前は基本的に猫なども断っていたらしい。基本的にというのは、依頼主が申し出る報酬次第では受けていたと言う理由による。中には猫一匹に50万などというお大尽もいたというから、世の中わからないものである。
 そういうわけで、氷河が一番最初に与えられた仕事は猫探しだった。人手が増えた以上、金になる仕事なら受けると言うことらしい。
 依頼主の住所を失念してしまったため、氷河は一旦事務所に戻る。――冷気をゆるめてやったので、猫は丸まっているだけになった。氷河に恐れをなしているようでもあるので、引っかかれる心配は、もうとりあえずないだろう。事務所に戻ればケージも用意してある。入れてしまえば猫と氷河、双方にとって幸せだ。
 雑居ビルの貧相な入り口のドアノブに手をかければ簡単に回った。
「鍵が開いている……久良沢さん、戻っているのか」
 ドアを開ける。そのときに息を止めるのを忘れない。わずか数日で付いてしまった習慣だった。
「……やっぱり」
 戻りました、と言うより先に氷河は猫をケージにぶち込む。そこから先はまさに電光石火だ。常人には氷河の動きをトレースすることなどできはしない。
「寒っ! なんだ!?」
 ドアを開けてからわずか10秒。締め切られていた窓は全て開けられ、冷房まで切られてしまったというのに室内は冷凍庫のような有様となっていた。恐らくマイナス20℃程度だろうと、氷河は体感で判断する。
 外から見たら、開いた窓から突然、煙のごとく白い霧が噴き出すのが見えたはずだ。だが心配することはない。空気中の水蒸気が急激に冷やされて凍り付き、そのように見えるだけだ。きな臭いわけではないし、何より冷たい。通行人は驚きこそすれ、火事だと騒ぐようなことはないだろう。
 騒ぐのは一人だけだ。
「氷河……またお前か! なにすんだいきなり!」
 凍った煙草をくわえたまま、ソファと共に久良沢が文字通り凍り付いている。また、というのは氷河がここに通うようになってから三日に一度はこういった事態になっているからである。文句を言うのも返すのも、すっかり慣れきってしまっている。
「換気と冷房代節約を一緒にやっただけですが、なにか? クーラーいらないから便利でしょう」
「冷凍庫とクーラーじゃ違うだろが!」
 ぱりぱりと音を立てて薄い氷の膜を剥がしながら、久良沢はソファからなんとか立ち上がる。その間に氷河は依頼客のファイルを取りに書棚へ向かった。
「黒毛、青目。間違いない、こいつだな。住所は……」
 手早く住所をメモすると片手に地図を、もう片方にケージをぶら下げ、氷河はさっさと出口に向かう。
「おい、どこ行くんだ?」
 後をついてこようとした久良沢の目の前にケージを突きつけてやった。
「こいつを依頼人宅まで届けてきます」
「ぎゃあぁぁぁ!」
 中身を目にして、久良沢は悲鳴と共に恐るべき速さで後ろに逃げる。――氷河が来るまではあまりこの手の依頼を受けなかった理由は、探偵本人が猫嫌いであるからに他ならない。
「行って来ます――あ、そうだ」
「なんだ?」
 心底嫌そうに猫入りケージを遠巻きに眺めながら、久良沢は一応返事をする。
「今日はこれが終わったら、直帰しても良いですか? 謝礼は後日口座振込みってことみたいですし、もう用事もないですし」
「直帰っておまえ、まだ昼間だろうが」
「行って帰ってきたら、もう夕方ですよ。定時くらいにはなると思うんですが」
「……そういや、キコはどうした?」
「この猫を俺に押し付けて直帰しました」
「どいつもこいつも……」
 ちっと舌打ちして、久良沢は氷河に封筒を突き出した。近づいてきたのは腕だけで、身体は思いっきり引いている。猫効果であることは疑いようがない。
「ケージに入れてるから、大丈夫ですよ。ところでなんですか、これ?」
「現時点での判明事項だ」
「え……」
 さらりと言われて、氷河は危うくゲージを取り落としそうになった。落とす前に床に置き、封筒から中身を取り出す。
「ナターリア・スミルノワ……19××年、グラード財団にロシア語通訳として雇われる……通訳?」
 それは氷河の知らない事実だった。氷河が知っていたのは母の名前と、生年月日。それだけだったのだから。
 数枚に渡る調査結果を氷河は急いで目で追う。しかし書き連ねられていたのは、グラード財団における彼女の仕事の記録にすぎなかった。氷河が求めていた情報は、なにひとつない。
「…………」
「時間がかかりそうだ」
 ソファに座り直した久良沢がぼそりと、だが明瞭に宣言した。
「グラード財団に雇い入れられた時に彼女が提出した書類は、全て偽造であったことが判明しているそうだ」
「偽造……!?」
 横面を張られた心地がした。いくら旧体制下の故国だったとはいえ、そんなことをする必要性がある人間の素性というのは当然明るいものではないだろう。
「まさか……マーマが……」
 犯罪者かなにかだったのではなどと、思うだけでもぞっとした。絶句してしまった氷河を、しかし久良沢は一片の同情も含まないまなざしで見つめる。
「素性に関しては、これから調べる。今判明しているその情報だけでは、なにもわかっていないに等しい。だがこういった事情だ、相当時間がかかるぞ。結果については当然期待は――勿論失望もしない方がいいとは思うが……どうする?」
 憚るように尋ねられ、氷河は眉を顰めた。
「どう、とは?」
「――もっと知りたいか?」
 何を考えているのか、全くわからない目だった。嫌がっているようでも、気が進まないようでもない。その淀んだ闇のような目を氷河は見返す。
「はい――知りたいです。俺は、知らなきゃいけないんだと思います」
 希求の目的は、当初のものからだんだん外れてきている。だが引き返すわけにもいかなかった。氷河はもう、目隠しをされた状態で満足していても良い子供の時代に別れを告げるべきなのだ。
 久良沢は頷いた。ふっと息を抜き、肩をすくめる。床に置かれたケージを嫌そうに眺めた。
「今日は、そいつを返してきたら帰ってもいいぞ。どうせ戻ってきても、テレビ見てるだけなんだろ? 仕事もないんだったら、電気代がもったいないから家で見ろ」
 素っ気なく言い捨て、もう振り返りもしない久良沢に氷河は頭を下げる。
「はい――お疲れ様でした!」
 ひらひらと振られた手は、氷河の謝辞を受け取った証ではなく早く行けという意味だろう。もう一度頭を下げてケージを引っ掴むと、氷河は足取りも軽く事務所を後にした。
 外に出たときに開け放したままだった窓から「くそー! ジッポーの蓋凍ってやがる! しかも火ぃつかねー!」と怒声が響いていたのも気にならないくらい、氷河の心は軽くなっていた。


 ***


 短い夏はあっという間に終わり、秋が来て、二度の試験を終えた。
 年の瀬の声を聞く頃には周囲では来春の高校進学に向けた受験への気運が高まっていて、中学校における最後の学期を目前にしている氷河もその流れに乗るしかない。
 氷河を初めとした城戸家とつながりのある青銅聖闘士達は幼少時からの外国における特殊な経歴を持っているため、そのハンデを回避させる目的でグラード財団の系列にある中高一貫校に籍を置いている。
 しかし無試験で自動的にに内部進学できるわけではなく、成績が振るわない場合は外部の受験も考えなければならないことになる。そうならないよう、氷河もある程度学業に本腰を入れざるを得ない状況に追い込まれた。
 その間、探偵事務所の手伝いは免除されたが、氷河にとっては痛手である。夏に思い立った一事が、いまだ解明されないまま時間が過ぎることは苦痛以外の何者でもない。
「子供ってのはせっかちだねぇ」
 久良沢はこう言って、悔しがる氷河を笑った。年末の仕事納めの日のことだ。
 なぜだかキコはいち早く冬期休暇を取っていてこの日は来ていない。なんでも、またしても『戦場』へ向かわなければならないのだそうだ。この日を休むために、以前勤めていた職場では適度に距離のある親族郎党をほぼ皆殺し(ということ)にしたらしい。親兄弟ではあからさますぎるため、おじ・おば・いとこ等をもっぱらの犠牲にしたそうだ。――氷河には訳がわからないが、わかる人にはわかる切実な話なんです、とキコは言っていた。何をどう考えても、やっぱり意味がわからない。
「まあ、焦らんでも結果は逃げやしないさ。それが存在する以上はな」
 相変わらずやたらと火の上がるジッポーで帽子の縁を焦げさせそうになるのを上手く回避し、久良沢はのんびりと紫煙を燻らせた。
「聖闘士になるって困難な目標は達成したんだ。次はせいぜい、真っ当な大人になることを目指すんだな。お前のかーちゃんだって、生きてればそう願うはずだ。それに今更焦ったところで、出てくる結果が変わる話でもないだろ? どうせ今まで8年も放って置いてたんだ。ここで3ヶ月くらい延びたところで、四の五の言うような時間じゃない」
「それは……そうですが」
 久良沢の言葉は、頭では理解できる。しかしなぜだか納得がいかない。それを見透かされたのか、溜息のように煙をふーっと吐きかけられた。
「今しかないって、そう思い詰めるのはそのくらいのお年頃には良くある話さ。大丈夫、春になったらまた来いよ。状況が悪くなってるってことはないはずだ。ま、良くもなってないかもしれないけどな」
 つまりそれは、氷河が来ない間は調査中断、ということだろうか。渋い顔を向ければ、久良沢は引きつった笑みを浮かべた。
「ま、一応継続調査はしといてやるさ。お前が抜ける分、仕事が詰まるはずなんで、時間が取れればな」
 それはつまり、ほとんどやる気がないってことですね。喉元まで出かけた言葉をなんとか呑み込んで、氷河はこの年を締めくくった。


 ***


 年が明け、氷河が勉学にいそしんでいる間、ギリシャはではなにやら一騒動があったようだ。
 だが別に再び聖戦勃発とか、そういうことではなかったらしい。なんでも聖域に珍客が現れたのだと噂に聞いた。それだけならば氷河の関与するところではなく、とりたてて興味もない。――目の前にやらなければならないことがある。氷河に直接関係のあることでないのならば、それどころではないというのが本当のところだった。
 そうして何事もなく日々は過ぎ去る。肉体的にはどうと言うことはないものの、精神的には修行の日々に匹敵するかのような毎日だった。
 だがその努力は、延びた日脚の中で花の色が映えるようになってきた頃、目に見える結果となって報われた。
 氷河にとっての厳しい冬は、こうして終わりを迎えたのだった。


 そして。
 無事進学を果たした氷河は再び久良沢探偵事務所のドアを叩いていた。なにしろ3ヶ月ぶりだ。なぜだか緊張しながらドアを押し開ける。――勿論、一度息を止めておくことを忘れない。
「あーっ! 氷河君! おひさしぶりです! 高校入学、おめでとうございますですぅ!」
 事前に連絡を入れてあったからだろう。クラッカーと共にキコが盛大に出迎えてくれて、氷河は思わず破顔した。
「ありがとうございます!」
 火薬の臭いと色とりどりの紙テープを避けようともせず、あえてもろに浴びる。赤の他人だというのに祝ってくれる、その心が嬉しい。
「せっかくの春休みなのに来てくれるなんて感激です! あ、もう卒業式は終わったんですよね?」
「はい、一昨日。ちょっと所用があってギリシャまで行っていたので、来るのが遅くなりました。すみません」
「ギリシャ!?」
 素っ頓狂な声と共にキコが目を丸くした。
「卒業式が一昨日で、今日って、行って帰ってきただけじゃないですか! なんて勿体ない。飛行機代だってバカにならないでしょ?」
「いや……まあ」
 どう答えるべきか。対応に困って氷河はポリポリと頭を掻く。まさか飛行機に乗るどころか、まともに出入国手続きもしていないなどと口に出すべきではないだろう。
「これ、お土産です」
 とりあえずこれ以上突っ込まれないうちにと、手にした袋を差し出す。これでお茶を濁せればいいのだが。
「オリーブ石鹸に、これは……スポンジ? ああ、海綿なんですね! そっか、地中海ですもんね~」
 果たしてキコはあっさりと氷河の思惑に乗ってくれた。土産を持っていくなら何が良いだろうかと、聖域で出会った女性に相談したのが良かったようだ。アドバイス通りのものを買ってきただけなのだが喜んでくれている。
「どっちも肌に良いらしいと聞いたので」
「ありがとうです~! 私だけでいただいちゃって良いんですか?」
「はい。それ、キコさん用にと思って持ってきたので」
 それから、と氷河はもう一つぶら下げてきていた紙袋を応接テーブルに置く。ソファでは探偵が背もたれに頭まで預け、帽子を顔に載せてお休み中のようだが、構わず話しかける。
「ギリシャのウゾってお酒です。日本じゃあまり手に入らないって聞いたので」
「……ガキにしちゃ、気が利いてるじゃねぇか」
 ぬっと手が伸び、紙袋から酒瓶だけを取り上げる。寝たふりをした狸もアルコールには抗えなかったらしい。
「けどな、誰が買ったんだ? いくらギリシャでも、お前の歳じゃまだ酒は買えないだろう」
 遵法精神に満ちた、なかなか厳しいツッコミだ。氷河は苦笑する。
「残念ながら買ったんじゃないんです。久良沢さんのお手伝いをしていると話したら、我が師がこれをお渡しするようにと」
「師って、聖闘士の?」
「はい」
 さすがに背を正して、久良沢は酒瓶と氷河を交互に眺めた。瓶を額の高さにまでかざして、軽く頭を下げる。
「それはご丁寧にどうも。ありがたくいただきますと伝えて置いてくれ。……師匠にまで気を遣わせたみたいで悪いな……」
 あまりに気まずそうなその様子から、調査の方は予想通りほとんど何も進展していないことが伺えた。
「また今日から頑張ります。よろしくお願いします」
 後半部分にやたらめったら力を入れて言ってみれば、久良沢は「お……おう」と目を逸らしつつ酒瓶を抱えてそそくさと給湯室へ行ってしまった。
 とりあえず受け取ってもらえた。信用しても良いと言うことだろう。
「大丈夫ですよ。ボスったら氷河君が来てない間も真面目に調べ物してましたから。結果が出てないんで、プロとして顔を合わせるのが恥ずかしいんですよ、きっと。だからがっかりしないでくださいね」
 背中をぽんと叩いたキコがこっそりと耳打ちする。
「はい――わかってます。時間がかかりそうだとは以前に聞いてますから、がっかりなんてしてません」
 破顔して氷河は頷いた。改めてキコに向き直る。
「お手伝いついでに、ゆくゆくは自分でも調べられるように色々勉強させてもらおうと思っています。頑張りますので、よろしくお願いします」
「……っ! その笑顔は……反則です……っ!」
 ちらりと覗いた白い歯のまぶしさにキコがうっかり卒倒しそうになっていたなどことなど、氷河は知る由もない。だが小声で何かをつぶやいたかと思えば、いきなり妙に輝く目で見つめられてたじろいだ。
「じゃあそのうち、こす……じゃなくて変装とか指南してあげますね!!」
 なんだか鼻息が荒いキコに、己の失言の可能性を悟った氷河だった。


Northern Cross 04 / To Be Continued




3話に引き続き、Darker Than Blackの世界観にどっぷり浸かりきった4話でした。
猫探しに大枚はたいた客とか、やたらと火の上がるジッポーとかは全てDTB準拠です。
それからキコが夏冬に向かった戦場とは勿論、お台場のあそこですw
一族郎党皆殺し説に関しては、聞きかじった話を書いてみただけです。
私が実際にやったりしたわけではないので、そのへんはくれぐれも誤解なきようお願いしますw
それから年明けにギリシャで起こった騒動と言う一文に関しては当然、公式作品内における事件(ストーリー)とは無関係です。
単に当サイトの本編がこの時点で始まったことを意味します。
時系列的にはそんな感じです、とちょっと書いておきたかっただけです。
それから卒業式の後のギリシャ行きについては中編02のBoys meet Gへとリンクしています。
……誤解を招きそうな表現はこのくらいでしょうか。
この話、予想以上に長くなってしまいました。
まだしばらく続きますのでお付き合いいただければ幸いです。
2010/07/21


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