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Side-S:15章 融けあう宇宙:Re-Unite 1


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 あれだけ晴れていたのが嘘のようだ。
 大粒の雨が打ち付ける。弾丸のように降りしきる。まるで空の涙だ。号泣していた。
 彼の心をそのまま写し取ったかのように。
 空が代弁してくれたぶん、彼の目は乾ききっていた。必死だった。涙など、流す暇はない。なによりそれは、今、流すべきではない。
 冷たい雫は、彼が全て受け止める。腕の中に大事に大事に抱える存在に、決して降りかからぬように。
 少しでも雨が当たれば、冷たい水は全てを流し、持ち去ってしまうに違いなかった。
 今はまだほのかに感じる熱も、かすかに脈打つ鼓動も、わずかに残る息も。なにもかもを。


 なるべく人目につかないように、寂れたところを選んで来たのだ。
 いつの間にか国境も越えていた。
 辺境の寂れた街に入り込み、雨風がしのげるところを探す。これ以上の移動は、もう無理だ。
 いくら最強の誉れ高い黄金聖闘士の一人である彼――カノンであっても、瀕死の怪我人を抱えてこれ以上の逃走を続けるのは不可能だった。
 古びてろくな手入れもされていない尖塔が目に入る。近づいてみれば、街外れに建つのは教会だった。ざっと見ただけだが、明らかに人気がない。運が良い。カノンは胸をなで下ろす。ムスリムの支配するこの地域でいまだに教会が現存しているのが不思議な気がしたが、大半は廃墟のような有様の街だ。ほんの一時をしのぐことができれば、些末なことはどうでもいい。
 本当に、今はほとんどすべてのことがどうでもいい。腕の中の存在以外は、どうでもよかった。
 扉にぐるぐると巻かれていた鎖を、小宇宙を込めた指一本で粉砕した。肩で重い扉をこじ開ける。開いた隙間から内部へ滑り込んだ。
 長椅子の並ぶ聖堂を歩く。足音はあまり響かせないよう留意した。薄暗く曇った外の光では残っているステンドグラスを輝かせることもなく、蝋燭の一本も灯されることのない無人の聖堂の中は陰鬱に暗い。
 祭壇の前までやってきた。カノンは残されたままの十字架を見上げる。磔にされた男の像は、異教徒を咎めるでも歓迎するでもなく、ただただ黙してそこに佇む。
 神の子へ軽く目礼を送り、カノンは祭壇に掛けられたままだった布を剥ぎ取る。軽く振って埃を払い、最前列の長椅子にそれを敷いた。
 そうしてようやく、カノンはここまで大事に抱えてきた命を、腕から解放することができたのだ。
「……
 暗がりの中でも白い の頬を撫でる。かすかに上下する胸だけが、彼女にまだ息があることを示している。
「死ぬな……」
 酷い怪我だ。まだ命があることの方が不思議なほどの。
 無理もない。
 あの惨劇の場から、 を連れ出せたのが奇跡のようなものだったのだから。


 ***


 あの瞬間、カノンは最大限に小宇宙を燃やして自壊する01へと向かったのだ。
 同時に最高潮にまで高まった小宇宙に呼び寄せられたかのように、どこからか黄金の光が飛来し、カノンの身体を包んだ。
 そして、カノンは間一髪で間に合った。
 自らが引き起こした爆風で吹き飛ばされた が、地面へと叩きつけられる寸前だった。
 すくい上げ、抱えて逃げた。それでも は既に爆発で裂傷と火傷を負っていた。力なく投げ出された腕は切り裂かれ、真っ赤に染まっていた。
 01の各所に設置された自爆用の爆薬が次々と誘爆を起こしていた。炎と熱い金属の破片は間断なく周囲に飛び散り、いくらカノンでもその全てを防ぐことはできなかった。双子座の黄金聖衣がなければ、カノンとてどうなっていたかわからない。
 ひときわ大きな炸裂音がした。反射的に振り返ったカノンの目に、外殻をほぼ失った01の姿が映る。無残に曲がり、所々断たれたフレームは崩壊寸前で、それでも爆発は終わる気配を見せていない。
 その中心にあるものを、カノンは見た。
 およそ金属らしからぬもので幾重にも厳重に巻かれた、なにか。
 それだけがいまだ炎を上げることなく、高熱に炙られている様子もない。その周囲では炎すらその形を変えていた。
「あれが――縮退炉」
 カノンは、かなり前に から聞いていた01の動力源の話を思い出す。


(そういえば、こいつはどうやって動いているんだ? 燃料の補給とか、しているのを見たことがないが)
(ジェネレーターを縮退炉に変更してあるから、燃料の補給は必要ないの)
(縮退炉?)
(簡単に言えば、人為的に作り出した極小のブラックホールを安定容器の中に閉じ込めたものらしいわ。これは不連続超振動ゲージ場縮退炉(DHGCP)というものだそうよ。なんでも周囲の空間が限りなく絶対零度に近づかない限り、事実上ほとんど無限にエネルギーを供給し続けることができるのですって。……ごめんなさい。私も良くはわかっていないの。だからこれは受け売り。ずっと昔にジェネレータの載せ替えのときに見たことはあるのだけれど、詳しく知っているわけではないの)
(ほう。で、その縮退炉とやらはどんな形をしていたんだ?)
(周囲から熱を奪うので、縮退炉の周りには厳重にブランケットが巻いてあるの。だから本体そのものは見ていないわ。01の近く、涼しかったでしょう?)
(そういえばそうだな。散々動いた後でも、トーラスと違って熱をあまり持っていないと思っていた)
(ブランケットを取り払ってしまえば、本体はそう大きくないんじゃないかしら。でも小さくても、ものすごく大きなエネルギーを放出できるものだから、万が一破損した場合はきっと凄まじい事態になるでしょうね)
(凄まじい?)
(閉じ込められているブラックホールがむき出しになるってことだもの。どんなことが起こるのか、実際想像もつかないわ) 


「――まさか」
 カノンは腕の中の を見た。
 全力を尽くすと言っていた。巻き添えを食わせたくないと。カノンにも、なるべく離れているようにとくどいくらい言い含めていた。その真意。
 それは、まさか。
「あの縮退炉を使って、この辺一帯を全て破壊するつもりだったのか……!?」
 ぐったりと青白い顔を凝視する。唇は、固く引き結ばれている。最後まで何も言わなかった唇だ。――覚悟が、知れた。
 何度も飛び退って、かろうじて残っている足場を捜す。留まってはいけないのはわかっている。いつ縮退炉が露出し、破損してもおかしくはない状況なのだ。
 そうなったら、いくら黄金聖衣を纏っていても生きていることができるかどうか。
 そういえばエピオンも、いつの間にか撤退してしまっていた。周囲に残るものはいない。

 縮退炉はまだ無事だ。
 
 なぜそんなことをしようと思ったのか、カノン自身にも説明することはできない。
 ただ、身体が勝手に動いただけだ。カノンがこの全ての事態を納得していないだけかもしれないし、実はなにも考えていなかったのかもしれない。
 だが、止めなくてはならない。確かに思ったのだ。これは、止められなくてはならない。
 だから阻止した。全力を賭して。

「ゴールデン・トライアングル!!」
 いまだ稼働状態にある縮退炉。いかなる瑕疵をも与えるわけにはいかない。この場から撤去する。
 周囲の高熱に歪んだ大気をもねじ曲げていた縮退炉をかろうじて燃え残っている01の残骸ごと異次元へと切り離す。時間も物理法則も何もかもが違う場所へ。最も安定した場所へ。いまだ爆発を繰り返している箇所も、異次元空間ではその化学反応を停止するはずだ。
 そして。
 いまだ破壊されきっていない、マスドライバーを含むこの拠点施設。誘爆が発生しているが、それもどこまで続くかわからない。火種がなくなってしまえば、消火設備が作動してしまうかもしれない。
  が全てを投げ打って無に返そうとした場所なのだ。それでは駄目だ。 がここまでしたその思いは、無にするわけにはいかなかった。
 だからカノンは、引き継いだ。
 銀河をも砕くと言われるその輝きが、宇宙への道ごときを絶てないわけがない。そう信じて。

「――ギャラクシアン・エクスプロージョン!!!!」

 渾身の一撃。
 それによって決定的な損害を被ったマスドライバーは誘爆を繰り返した末に、崩壊する。隣接する稼働中の核融合炉までを巻き込んだ。
 いくら核分裂式とは違うとは言え、放射線の影響はないわけではない。
 最後まで見届けることはせず、カノンは瞬間移動でその場を離れたのだった。


 ***


 あの光景を思い出しながら、カノンは横たえた の状態を見て改めて戦慄せずにはいられなかった。
 爆風と衝撃波で瞬時に吹き飛ばされたのだろう。火傷は少ない。直接爆風を浴びた背中がわずかに熱に晒された程度だ。
 だが握り込んだ自爆装置のケーブルに引っかかりでもしたのか、右腕には酷い裂傷を負っていた。恐らく骨折もしている。
 更に飛び散る破片で多くの裂傷を負っていた。しかもその裂傷は、爆心地から離れる際に行った瞬間移動のせいで更に悪化している。
 理屈はよくわからないのだが、瞬間移動は怪我を悪化させるというのが通説だった。急いであの場を離れる必要があったためやむなく行ったが、事実その通りの結果となってしまった。とにかく出血が酷い。何度か真央点をついて止血は施したが、既に流れてしまったものが取り返せるわけもない。
  の体内では今、医療用のナノマシンが一斉に活動しているはずだったが、今のところ目に見える効果はない。否。もしかしたら、ナノマシンのお陰でここまでなんとか持ちこたえているのかもしれない。
 そう考えると、寒気がした。
 一刻も早く、なんとかしてやらなければ。――だがどうすればいい? これ以上、こんな状態の を移動させるわけにもいかない。しかしここにはなにもない。血が足りない。消毒薬もない。包帯もない。医療器具はおろか、医者すらいない。頼れるものは誰もいない。ここには、カノンしかいない。
 カノンは の頬を撫でた。すべらかな肌に走る細かい傷。カノンの手についていた赤い血が移って、その異様なまでの青白さをいっそう引き立てた。だが、まだ暖かい。――あたたかい。
 このぬくもりを、失うわけにはいかない。絶対になくしたくない。
 床に跪き、カノンは横たえた を抱きしめる。できるかぎり、そっと。それでも精一杯の力を込めて。
、死ぬな。お前がいなくなったら、俺は――!」
 小宇宙を高める。傷つけるためではなく、癒すために。そうした目的で小宇宙をここまで解放するのは初めてだった。
 誰かを殺傷すること。それ自体は、実は簡単なことだ。だが治癒させるというのはなんと難しいことだろう。それは零れた水を元の器に戻す作業に似ている。
  の呼吸に、鼓動に合わせてカノンの小宇宙を注ぎ込み、浸透させる。急ぎすぎては毒になる。それはそれは丁寧に、そして慎重に行った。
 やがて、 と一体になった――そんな感覚を覚えて、カノンは少し安堵する。人のいのちと小宇宙は似て非なるものではあるが、表裏一体であって、切っても切れない関係がある。小宇宙を同調させることはすなわち、いのちも同調させることに他ならない。こうすることによって今、カノンは の生命が尽きないよう、その半分を受け持っている状態となった。
 そして に流れ込むカノンの小宇宙は、 の傷を通常よりは早く癒すだろう。もしも が既にカノンの小宇宙も受け付けないほどに弱っていたら、もう為す術はなかった。そう思っていたから、カノンは心の底から安心した。まだ油断はできないが、これでもう今すぐ死んでしまうようなことはないだろう。肩の荷が、一つ降りた。
 ずっと張り詰めていた緊張がわずかにほぐれる。ほっと息をつき、カノンは目を閉じる。――とても疲れていた。わずかに気を抜くと、すぐに意識は混濁を始める。
 いけない。そう思って気を引き締めても、その効果はあまり長続きしなかった。
  との小宇宙の同調はうまく行っている。 の意識が戻りでもしない限り、この状態が溶けることはないだろう。だが人気のない場所に逃げ込んだとはいえ、あまり治安のよくなさそうな街だった。
 こんなところで眠り込んでしまうわけにはいかない。
 そう思いながらも、カノンの意識は闇に引きずられ、やがて落ちた。


融けあう宇宙:Re-Unite 1 / To Be Continued



新章開始。
夢らしいストーリーになるよう努力はしました(笑)

文中の縮退炉については、∀ガンダム小説版を参考にしています。
この設定がなければ補給の問題が宙に浮く事になっていたので、とても便利な設定でしたw
但し不勉強によりいまいちよく理解していないので『DHOG縮退炉』やら『DHGCP』などを混同した説明になっています。
ちなみに自分が把握している『DHGCP』とは「縮退炉を2基搭載したもの」であり、「不連続超振動ゲージ場縮退炉」というもので、縮退炉から発生させたエネルギーを内面に展開し縮退を起こす、という代物です。
また『DHOG縮退炉』は福井晴敏著:『月に繭、地には果実』に記述がありまして、「周囲の空間から抽出したエネルギーをIフィールドの力場で縮退、炉の内側に封じ込めて動力に転換する」ものらしいです(^q^)
この両者は全く違うもののような気もしますが、結局意味が全然わかっていません\(^o^)/
イメージ的には「縮退状態にまで圧縮した物質を安定容器の中に閉じ込めているだけ」と言う感じで書きました!
意訳すれば「なんだかよくわからないけどすごい永久機関」ってことですw
ストーリー的にはどうでもいい部分なので、そういうことで片付けておいてください。
そういう方向に詳しい方からのご教示を無期限絶賛募集中です(*゚∀゚)
よろしくお願いします!
2011/06/05


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