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Side-S:16章 Promised Reunion 8


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 妙な謹慎令は解けたと言うのに、一部の聖域の住人達にとってはその翌日も妙な日であることに代わりはなかった。
 否。前日は謹慎だけで済んでいたのだ。だからこそこんなにも理不尽な目に会うことなどなかった。
 一切の関わりを禁じられていたところで、謎の客人が訪れたことなど、誰もが知っている。
 闘技場に円形ではないUnidentified Flying Object(未確認飛行物体)――飛んでいたことは確かだが、飛行機でもヘリコプターでもないそれをどう呼称すべきか、誰もが悩んだ――が着陸したらしいことも、少なからぬ目撃者がいたことによって聖域のほとんどの人間が知っている。人の口に戸は立てられない。
 そして半月ほど前に姿を消した巨大ロボット――これも『モビルスーツ』と呼ぶのだと、今や誰もが知っている――が、同じ機体ではないものの、再びこの聖域に現れた。これも夜明けから一時間後には既に周知の事実となっていた。
 これ以上の変事はないだろうと胸をなで下ろしたところで、その災厄は降ってわいた。

 そう、それはまさに降ってきたのだ。

 聖域の入り口とはいったいどこなのか。それを説明するのは難しい。
 一般人が簡単に入り込んで来れないよう結界を引いてあるのだが、アテナ神殿を中心とした建造物が存在するのは、実は結界内のごく一部でしかない。
 建造物群は街と称するにはまともな住人も住処もほとんどない場所ではあるが、その街をぐるりと頑強な塀に囲まれて、中世の城塞都市と似通った造りとなっている。とは言ってもその塀の大半は自然の岩山をそのまま利用したもので、城壁と呼べるほど人工的な部分は多くはない。
 その少ない城壁然とした部分のひとつに、城門と呼んでも差し支えのない場所がある。
 それは内部へ通じる数少ない専用の入り口――すなわち門であり、そうである以上、そこを守る門番がいるのも当たり前のことだ。任に当たるのは基本的には一般兵である。
 通常、雑兵と呼ばれている者達ではあるが、彼等とてかつては聖闘士を志し、厳しい訓練に耐え抜いた強者であることに変わりはない。聖闘士となるには力が一歩――本当にわずかに一歩及ばなかっただけの者から、聖闘士の中でも最下級の青銅はおろか、白銀と同等かそれ以上の実力を持ちながらも星の加護を得られなかったが故に聖闘士の位を手にすることができなかった者まで、実力においては千差万別。雑兵と一括りにするのはあまりにも乱暴なのだが、それほど細かい階級をもうける必要もないのもまた事実である。
 聖闘士か、そうでないか。
 結論だけ言えば、聖域にはその区別さえあればいい。その差はすなわち有事の際に、主神たる女神アテナに積極的に生命を捧げるべきか否かの差でもある。
 端的に言えば女神を守ることを最重要とするのが聖闘士。常日頃その聖闘士達をサポートし、また聖域在住の一般民もしくは周辺集落の住民らを優先的に守るのが雑兵と大別される。
 故に聖域を囲む城壁の門番は雑兵だけの仕事ではない。その内に女神が坐すのであれば、門番の任は聖闘士のものでもある。
 この日も女神は聖域に坐していた。よって聖闘士と雑兵が揃って門前を守護しているのは当然のことだ。前日はこれすら取り払われていた。思い返せば返すほど異常な一日だったと、前日の当番だったはずの猟犬星座の白銀聖闘士・アステリオンは持ち場から外を眺めて溜息をついた。
 門の上に設けられた見張り台からは、夏枯れした草の残骸もまばらな味気ない風景しか見えない。石畳で舗装された道路は古く、所々にひびが入ってはいるが補修はきちんと為されている。聖域ではそこここに見受けられる半ば風化した遺物の残骸すらそこでは取り除かれ、そのせいでいっそう面白みのない景色は秋の日差しで物悲しささえ追加されていた。
「こうして見張りをしていても、昨日のように空から直接侵入して来られては意味がない、か……」
 四角く風景を切り取る見張り窓の縁に手をつき、アステリオンは独りごちる。
「だから俺達など要らないと、昨日のアレはそういうことだったのだろうか」
「随分とセンチメンタルなことだな、アステリオン。その調子ではもしも再び聖戦が勃発でもしたら、また敵の思念に引きずられて、また敗北を味わうことになるのではないか?」
 また、という部分をやたらと強調しながら、独白に横やりが入れられた。アステリオンは渋面を隠そうともせずに振り返る。
「お前に言われる筋合いなどないな、アルゴルよ」
 シニカルな笑みを浮かべていたのはペルセウス座のアルゴルだった。涼しい顔に苛ついた。アステリオンは反撃を試みる。
「俺がやられたのは白銀が相手だったからだ。青銅ごときにやられたお前が何を言う」
「ああそうだな。神をも倒した、伝説として語り継がれるのは必至の英雄が相手では、さしもの俺でも不覚を取った」
「………………」
 盾をふるわずともいとも簡単に相手を石化し、アルゴルは窓際に悠然と歩み寄った。下を見る。
「雑兵どもは所定の人数か」
「……ここも所定の人数しかいらんのだがな。昨日の一件のせいで、シフトが繰り下がったことを知らんのか」
 仏頂面で壁に張り出されているシフト表を指さしているアステリオンに、アルゴルは溜息をついた。
「そんなことくらい知っている。俺が来たのは見張りをやるためじゃない」
「じゃあなんだ?」
 アステリオンが聞き返せば、アルゴルは腕を組み、もう一度窓から外を眺め直す。
「教皇から直々の命令でな……」
「教皇勅令? 穏やかではないな」
 眉を顰めたアステリオンに、アルゴルは再び盛大な溜息をついて見せる。
「俺も初めはそう思ったのだがな……」
「随分焦らすな。で、なんなのだ?」
「来客があるから、教皇宮まで案内しろ、と」
 ようやく苦々しく白状したアルゴルに、アステリオンは遠慮なく笑ってやった。
「案内役か! そりゃあいい! 伝説級の英雄様と互角に戦った白銀聖闘士のアルゴル様が直々に案内をしなければならんとは、さては随分な賓客なのだろうな」
 ふん、とアルゴルは面白くなさそうに鼻を鳴らす。ふてくされたように肩をすくめて窓から離れた。その様子を少しばかり胸の空く思いで見遣り、さらに一押しすべくアステリオンは窓から顔を突き出す。
「お客様のお越しはいつ――ん?」
 突然軽口を止めて窓からさらに身を乗り出したアステリオンの後ろ姿に異変を感じ、アルゴルも窓辺に戻る。アステリオンの視線を追えば、空に点が見えていた。
「なんだ?」
「近づいてくる」
 点は見る間に大きくなり、その偉容がはっきりと見て取れるようになるまでにそう時間はかからなかった。
「……モビルスーツ……またあっち絡みか……」
 人型の巨体である。見間違えようがない。げんなりと窓から首を引っ込めたアステリオンと入れ替わるように、アルゴルは身を乗り出して降りてくるそれを観察する。
「何者だ?」
 凄まじい勢いで降下してきたそのモビルスーツは、上空で一旦滞空した。中天に上りかけた太陽を背にして、その機体はまるで陽光を背負っているようにアルゴルには見える。あまりのまぶしさに目を眇めた。それでも視線は逸らさない。再び降下を初め、太陽と重ならなくなってようやく背部から噴き出すバーニアの青白い炎が見えた。ゆっくりと降りてくる。
 少なくとも動きに敵意は感じない。ならば降りてくるまで待つかとアルゴルはようやく首を引っ込めた。暫時とは言え莫大な光量に晒されてしまった目には、石造りの室内はあまりにも暗い。目が慣れるのにはしばらくかかりそうだ。外からはバーニアの噴射音と、雑兵達の上げる浮き足だった誰何の声が聞こえる。それでもアステリオンの声がかき消されることはなかった。
「半月前の総力戦以降、敵のモビルスーツは見ていないが、少なくともあんなのは見たことがない。敵ではないなら、あれが客ということではないのか」
 落ち着き払った同僚の言葉に、アルゴルはそう言えばと思い出す。
 夏以降、彼ら聖闘士達には異世界からやって来たという、あのようなモビルスーツに守られた武装勢力の拠点の壊滅任務が何度か与えられていた。どういう基準で人選しているのかはわからないが、その任務に当たった回数はアルゴルよりもアステリオンの方が多かったのだ。アルゴルには何が何だか違いがよくわからないのだが、判別の付いている人間がそうだというのならそうなのだろう。
「成る程。教皇宮まで案内しなければならないというのは、あの とかいう女の所へ連れて行けと、そういうことだったのだな」
 納得し、アルゴルは上階へ続く階段へと向かう。この見張り部屋の上は凹凸の塀に守られた屋上となっている。背の高いモビルスーツの搭乗者と相対するには良い高さだ。


 丁度外へ出たところで、凄まじい衝撃に襲われた。わずかにたたらを踏み、アルゴルは縁へと駆け寄る。彼の後についてまだ階段を上っている最中だったはずのアステリオンがなかなか来ない。手すりもない狭くて古い急な階段だ。落ちたな、と思いながらも心配などしない。聖闘士たるもの、その程度で打ち所が悪くてどうにかなるなんてことはないはずだ。
 塀の窪みの間から見下ろせば、着地したモビルスーツが少なからず脚部を石畳にめり込ませていた。そんなに地盤は緩くないはずなのだが。それとも余程乱暴に着地したのだろうか。修復だってそれなりに手間がかかるというのになんてことをしてくれるんだと、アルゴルは目の前のやたらと四角く見える青いモビルスーツを批難を込めて睨みつける。
 だがそれきりモビルスーツは沈黙を保ったまま動こうとしない。後ろ頭をさすりつつ駆けつけてきたアステリオンが怪訝につぶやいた。
「なんなんだ? まさかとは思うが、落ちたとかか?」
「さあ……」
 アルゴルが首を傾げたところで、唐突に二人の目線よりも少しばかり高い位置で胸部が開く。その足もとでは当番の雑兵が総出で手に手に得物を携えてモビルスーツを見上げていたが、開いた胸部は上が開いてドア部が足場になる格好だ。搭乗者からは恐らく真下の様子など見えてはいないだろう。
 そのハッチから姿を現したのは、女だった。20代半ばほどだろうか。赤みの強い髪は肩ほどの長さしかなく、それでも毛質が柔らかいのか強くもない風に靡く。長めの前髪が目にかかるのを、女は鬱蒼しそうに片手で押さえつけていた。空いたもう片方の手をハッチの縁にかけて出てこようとしたようだったが、なぜかよろけてその場に立ち尽くす。
「ここを女神アテナの聖域と知っての来訪か? 名と用向きをお聞かせ願おう!」
 しきたりに則り、アルゴルは声を張り上げる。女はそれでようやくアルゴル達に気づいたらしい。顔を向け、髪を押さえていた手を離す。その指の間には何か書状のようなものが挟み込まれていた。それを掲げ、身体を支えているもう片方の手はそのままに、女は外に出てきた。口を開こうとした瞬間、突風が吹き抜ける。
「――あっ!」
 小さく悲鳴を上げ、女の身体が揺らいだ。地上からの高さは優に10m以上もある。落ちれば十中八九命はない。
 非常に危険な状態だ――思った瞬間アルゴルはすかさず塀を乗り越え、女の立つハッチへと飛び移っていた。
「失礼――大丈夫か?」
 今にも落ちそうだった身体を抱きかかえ、声をかける。触れてわかった。戦いを生業としている人間ではない。その身体は華奢に過ぎた。
「ええ、ありがとう。助かりました」
 しかしその声は、たった今落ちそうになっていたにしては落ち着いていた。アルゴルを見返す青い目にも、見知らぬ人間に唐突に抱えられている割には驚きの色がない。ある程度の危険には慣れていることを物語っていた。
「私はマリーメイア・バートン。用件については前日にそちらのトップの方にお知らせしてあると聞いています。これが通行許可証だと渡されたものです。どうぞご確認を」
 よろけても決して手放さなかった書状を突き出す。アルゴルがそれを受け取ったところで、重ねて素っ気ない申し出があった。
「もう大丈夫ですから離してくださらない?」
「ああ……失礼」
 咄嗟に詫びの言葉を口にしてしまい、アルゴルは眉をしかめた。せっかく助けてやったというのに、感謝の気持ちがあまり感じられないのは面白くない。
 言われるがまま女――マリーメイアの身体から手を離せば、彼女はようやくほっと息をつく。アルゴルはその緊張が抜けた隙を狙った。
「――――っ!」
 今度の悲鳴は声にすらならなかったらしい。古びてはいてもしっかりと広い石組みの城壁の上に硬直した身体を下ろしてやりながら、アルゴルはしてやったりとほくそ笑んだ。きっと我に返った瞬間に、いきなり何をするのと非難されるに違いない。そうしたらわざわざあんな危ない場所で許可証を確かめる必要などないと突っぱねて高笑いしてやるのだ。落ちた方が良かったのかと。
 一連の出来事を傍観していたアステリオンが、なぜだか肩をすくめてやれやれと首を振りつつ歩み寄る。アルゴルが掴んだままの通行許可証とやらをさっと奪い取っていった。そして一つ溜息をついて、哀れみの籠もった声で告げる。
「……アルゴル、それは甘いぞ……」
 心を読んだのだろうとは思ったが、その言葉の真意を忖度する暇はなかった。甲高い怒声がアルゴルを襲う。
「ちょっとあなた! 急になにをなさるんです!?」
 思い描いていたとおりの非難だった。――ここまでは。
 次の一言にアルゴルは目を剥く。
「なにをお急ぎなのか知りませんけれど、まだ荷物がありますの。これでは用が足せませんわ。もう一度戻してくださる?」
 唖然と見返すアルゴルの手を振り払い、マリーメイアは腰に手を当て居丈高に自分の乗ってきたモビルスーツを指さす。
「さあ早く!」
「は……はい」
 迂闊にも完全に気圧されてしまった。アルゴルはぎくしゃくとマリーメイアを抱え直す。対する彼女は当然といった態度でされるがままになっている。
 非常に釈然としない気分のまま再び跳躍してモビルスーツに戻れば、マリーメイアはいそいそとコクピットに入って行ってしまった。自分は一体どうすればいいのだろう? 身の置き所に困って、コクピットの中をそっと覗き込んでみる。
「おい……」
 控えめに声を掛けてみたが、コクピットの大部分を占めているシートに反対向きに膝をつき、裏側に頭と腕を突っ込んでなにやらごそごそとやっているマリーメイアには聞こえなかったらしい。そのまましばらく一人で頑張っていたが、その身体が突然勢いよく後ろへ――覗き込んでいるアルゴルの方へ倒れ込んできた。
「うわ!」
 慌ててその背を支えてやったのが仇となった。
「痛っ!」
 脳天に何かが直撃して、ショックと憤りとそして痛みで一瞬アルゴルの意識が飛びかける。だがそこは打たれ慣れている聖闘士である。昏倒するような失態を演じずに済んだのは常日頃の修練があればこそだ。
「ごめんなさい……大丈夫?」
 さすがにマリーメイアも慌てたのか先程の不遜な態度をちらとも見せず、素直に謝罪の言葉を口にした。凶器となったアタッシェケースを脇に置き、頭をさするアルゴルの手を取る。
「な……なにを」
 そのまま頭をぐいと引き寄せられ、アルゴルは狼狽えた。だがマリーメイアは手を離さない。
「切れてはいないようですね。……今は痛むだけですか?」
 軽く触れられてじんと痛んだ。だがそれだけだ。大人しく頷く。
「ああ」
「いわゆる『たんこぶ』になってしまいましたね。失礼しました」
 手を離し、マリーメイアはアルゴルの顔を直視した。まじまじと見つめられて、アルゴルはさすがに恥ずかしくなる。目を逸らし、原因のアタッシェケースを引っ掴んで外に出た。ハッチの上に立ち、マリーメイアに手を差し伸べる。
「これくらい、なんということはない。用は済んだか? ならば行くぞ。教皇宮へ案内するよう言われている」
「もう少し待ってください」
 シートに座り直したマリーメイアは、今度は操縦桿近くのコンソールをなにやら操作した。するとガコンと大きな音と振動が響き渡る。咄嗟に音のした方へ目を向ければ、さらに上の方――肩に当たる部分が開いていた。
「下にいる人たちに、退くように言っていただけます?」
 声をかけられて視線を戻す。コクピット内のモニターに下の様子が映っていることに、アルゴルは初めて気づいた。雑兵達が困惑したようにこちらを見上げて立ち尽くしている様が映っている。
「なにをする気だ?」
「もう一つ……いえ、二つ。荷物があるのです。これから下ろします」
 アルゴルは言われたとおりに下へ向かって指示を出した。白銀聖闘士の声に、全員が大人しく従う。
 自らの肩から金属の筒状のものをするりと取り出し、確実な動作で地面まで下ろすモビルスーツの手を間近で眺めるのは少しばかり面白かった。
「ではこれを、昨日封印が解かれたモビルスーツが置いてあるところまで運んでおいてくださいね」
 だからアルゴルはさらりとそう告げられ、ついうっかり答えてしまった。
「ああ。わかった――え?」
「では参りましょうか。あなたが案内してくださるのでしょう?」
 差し出したままだった手を今度こそ取り、マリーメイアは立ち上がる。その爽やかな笑顔にアルゴルはなんとか突っ込むことができた。
「あれを、彼等にに運べと?」
「ええ」
 なにか問題でも?とでも言いたげな顔でマリーメイアは即答する。アルゴルは頭を抱えたくなった。
「なぜ……」
「だって私には運べませんもの。重いですよ。一つで500kgほどありますから」
「だからなぜ彼等に」
「あら? あなたは彼等にそう命ずることはできないの? 装備の質が違うようなので、あなたが上役かと思ったのですけど」
 全く話が噛み合わない。アルゴルは地団駄を踏みたくなった。あいにく足場が悪いのでできないが。代わりに声を張り上げる。
「そういうことではない! なぜ人力で運ばねばならんのだと聞いている! なんのためのモビルスーツだ?」
「だってこの先には建造物が多いではないですか。モビルスーツでこの先に進むなんてできませんわ」
 マリーメイアはしれっと言い切る。アルゴルがふと『それ』に気づいたのはそのときだった。
「……あの肩口に書いてある『L』の字はどういう意味だ……?」
 まさかと思いたかったのだが、マリーメイアは笑顔でアルゴルの期待をぶち壊してくれた。
「勿論『仮免操縦中』の印ですわ。先日、ようやく取れましたの。プチモビの免許は持っているのですけど、やっぱりこんな大型のモビルスーツは難しかったわ。それにしてもこんな重力の井戸のようなところでは着地さえ難しいものなんですのね」
 プチモビ以下は意味不明だったが、とりあえず彼女の操縦で建造物密集地であるこの先に立ち入らせるわけにはいかないことだけは理解した。
 石畳にめり込んだモビルスーツの足を見下ろしながら、アルゴルは仕方なく雑兵達に重労働の指示を出したのだった。

Side-S:16章 Promised Reunion 8/ To Be Continued


前回予告通り、恐らくはどなたも予想されていないと思われる人物ばかり書いてみました。
初めて書くキャラばかり、しかもいまいちキャラクター像を把握しきれていないようなキャラばかりですが、どんなもんでしょう?
とりあえずマリーメイアについては、EWでは若干7歳だったわけですが、この作品では成人済みということにしております。
というわけで、成長後の人物像についてはかなり想像の余地があるわけなのでどうとでもできるあのようにしてみました。
ですが白銀聖闘士たちについてはこう、今ひとつ把握できないんですよね……(´・ω・`)
わからないなら書くなとお叱りを受けそうですが、だって書いてみたかったんだもん ←

ちょっとシリアス続きだったので、ほんのギャグ回として少しでもお楽しみいただければ幸いです。

※ちょっと補足:
・マリーメイアのモビルスーツはEWがらみということでサーペント。
・肩口についている『L』マークは、仮免許練習中の印のつもりです。イギリスのやり方らしいのですが、面白いので採用してみました。
・冒頭における聖域の描写は『ぼくのかんがえたさんくちゅあり』に基づいたものであり、実際のものとは異なるはずです。

2012/09/22


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